FACTFULNESS(ファクトフルネス)の要約 ビルゲイツがオススメする価値はあるのか?

FACTFULNESS(ファクトフルネス)の要約 ビルゲイツがオススメする価値はあるのか?

ビルゲイツがアメリカの大学生に無料で提供したことでも話題になった「FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣」

「自分の殻に閉じこもるよりも、正しくありたいと思う人へ。世界の見方を変える準備ができた人へ。感情的な考え方をやめ論理的な考え方を身に付けたいと思う人へ。謙虚で好奇心旺盛な人へ。驚きを求めている人へ。ぜひとも。ページをめくってほしい。」

冒頭でこのように書かれており、多くの人々が読むべき一冊です。

概要

元々お医者さんで世界中を飛び回り、統計学者として世界各国で正しい世界の情報を伝えてきた著書のハンス・ロスリング。

しかし、どんなに正しい情報を発信しても、専門家たちですら世界を正しく見ることができないという問題に直面する。

「どうして世界を正しく見れないのか」という原因と、
「どうすれば正しく世界を見ることができるのか。」という解決策を本書では紹介している。

また、概要はTEDでも確認することができます。

要約

世界の事実に関する質問

  • 質問1:現在、低所得国に暮らす女子の何割が、初等教育を終了するでしょう?
    • A:20% B:40% C:60%
  • 質問2:世界で最も多くの人が住んでいるのはどこでしょう?
    • A:低所得者 B:中所得者 C:高所得者
  • 質問3:世界の人口のうち、極度の貧困にある人の割合は、過去20年でどう変わったでしょう?
    • A:約2倍になった B:あまり変わっていない C:半分になった
  • 質問4:世界の平均寿命は現在およそ何歳でしょう?
    • A:50歳 B:60歳 C:70歳
  • 質問5:15歳未満の子供は、現在世界に約20億人います。国連の予測によると、2100年に子供の数は約何人になるでしょう?
    • A:40億人 B:30億人 C:20億人
  • 質問6:国連の予測によると、2100年には今より人口が40億人増えるとされています。人口が増える最も大きな理由はなんでしょう?
    • A:子供(15歳未満)が増えるから B:大人(15歳から74歳)が増えるから C:後期高齢者(75歳以上)が増えるから
  • 質問7:自然災害で毎年亡くなる人の数は、過去100年で同変化したでしょう?
    • A:2倍以上になった B:あまり変わってない C:半分以下になった
  • 質問8:図を使った質問のため省略
  • 質問9:世界中の1歳児の中で、なんらかの病気に対して予防接種を受けている子供はどのくらいいるでしょう?
    • A:20% B:50% C:80%
  • 質問10:世界中の30歳男性は、平均10年間の学校教育を受けています。同い年の女性は何年間学校教育を受けているでしょう?
    • A:9年 B:6年 C:3年
  • 質問11:1996年には、トラとジャイアントパンダとクロサイはいずれも絶滅危惧種として指定されていました。この3つのうち、当時よりも絶滅の危惧に瀕している動物はいくつでしょう?
    • A:2つ B:ひとつ C:ゼロ
  • 質問12:いくらかでも電気が使える人は、世界にどのくらいいるでしょう?
    • A:20% B:50% C:80%
  • 質問13:グローバルな気候の専門家は、これからの100年で地球の平均気温はどうなると考えているか?
    • A:暖かくなる B:変わらない C:寒くなる
  • 本書を手にとって、ぜひ答えを確認して欲しい。日本人の平均正答率は10%以下であった。この問題は、教養を受けた先進国ほど間違える傾向が高い。
  • 本書は、これらの問題を間違えてしまう10の思い込みを紹介し、データに基づく世界を正しくみる習慣を身につけることが出来る。

まず冒頭で上記の質問があります。
そして、その解答率がチンパンジーよりも低いのはなぜか(33%以下)という問いかけに対する回答とし、以下の10の思い込みが原因、でそれに対してどうすれば良いのかを解説していきます。

(ちなみに回答はC,B,C,C,C,B,C,A,C,A,C,C,A)

世界は分断されていると言う思い込み「分断本能

高所得と低所得、先進国と途上国と何事も二つに分けたくなってしまう考え方を分断本能とよんでいる。

本書では所得レベルに応じて4つのグループに分けることを推奨している。

レベル1:一日2ドル以下の所得で、裸足で水を汲みに行くような暮らしをしている(約10億人)

レベル2:一日8ドル以下の所得で、自転車も買えて電気も使える暮らしをしている。(約30億人)

レベル3:一日32ドル以下の所得で、バイクも買えて水道管も引けて安定した暮らしをしている。(約20億人)

レベル4:一日32ドル 以上の所得。多くの日本人。(約10億人)

ではどうすれば分断本能を抑えられるか。

本書では以下の3つに注意すべきとしている。

平均の比較
平均だけに気をとられるのではなく、分布も確認し、全体像を把握することが大切。

極端な数字の比較

「ブラジルでは、もっとも裕福な10%の人たちが国全体の所得の41%を占めている。」
といった極端なデータは印象に残りやすいが、そういった極端なデータよりも、大半の人は中間にある場合が多いと意識し、分布を気にすることが大切。

上からの景色

レベル4の人からすると自分よりも下のレベル1,2,3は全て同じように見えてしまうが、全然違うということを気をつける。

世界はどんどん悪くなっているという思い込み「ネガティブ本能」

奴隷制度
戦争や紛争の犠牲者数
飢餓の人の割合
オゾン層破壊物質の使用量
などなど

悪いことは年々減っている。

そして、逆に、自然保護区の割合、オリンピックに参加する人の数、女子教育、識字率などの良いことは年々増えている。

という事実をグラフを使いながら説明する。

そして、なぜそういった事実に気づかずに、「世界は悪くなっている」といったネガティブな思考になってしまうのか。

原因は以下の3つと考えている。

  • あやふやな過去の記憶 …「昔はよかったのにな。」なんておっさんの言葉は聞きたくないでしょう。でも人は過去の記憶は何かと美化する傾向があります。つまり、昔が良くて今がダメというネガティブな思考に繋がりやすいのです。
  • 偏った報道 …「航空機、無事着陸。農作物の収穫成功」こんなNewsは見たことがないでしょう。それは、ゆっくりとした進歩よりも一回の悪いNewsの方が人の印象に残りやすく、商売になるから。これにより、ネガティブなNewsが増え、ネガティブな人が多くなる。
  • 空気 …確かに、現時点でも紛争が起こっている地域はあります。そんな中、「世界は良くなっている」というのは言いにくい空気もあり、ネガティブにいようとします。

上記を常に意識することが大切。

特に、3点目に関しては「「悪い」と「良くなっている」は両立する」ということを理解することが大切。

例えば保育器に入った赤ちゃんが一週間立ってだいぶ体調が良くなってきた。
この子の体調は良いとは言えない。
むしろまだ悪い。
でも良くなっているのは確かで、それは両立する。

世界の人口はひたすら増え続けるという思い込み「直線本能」

人はグラフを見ると視覚的に直線で進み続けると思いがちだが実際はそうでもないケースが多い。

ひとつのグラフだけをみて人口は今後ももっと増え続ける。
と結論づけるのではなく、他のデータも見てから分析することが大切

実際に人口に関しては現在も増えているが、「15才以下の子供の人口」はすでに横ばいになっている。
これは「女性一人当たりの子供の数」が1965年では5人だったのが2017年では2.5になっているからだ。
そしてその原因は極度の貧困の人が減ったからだ。(
子供に無理に働かせる必要もなく、病気で乳児が死ぬ確率も減り、一人一人にしっかり教育をしようとすると出生率は減るとのこと)

なのでこれから人口は増えるが、それはひたすら増えるのではなく、現時点で子供の数が多く、その子供たちが死ぬまでの話で、それからは安定すると思われている。

危険でないことを、恐ろしいと考えてしまう思い込み「恐怖本能」

テロリスト、地震、飛行機事故、恐ろしいと思うことは多くあるが、それらは実は恐ろしいだけで実際のリスクはとても低い。

例えば、アメリカでは過去20年間で3172人がテロで亡くなっているが、飲酒でなくなった人は140万人。

2015年のネパール地震では10日間で9000人が亡くなったが、同じく9000人が10日間で汚染された飲み水が原因で亡くなっている。

つまり、本当に大切な人を守りたい場合は恐怖本能を抑え、本当にリスクが高いものに注意するべき。(リスク=危険度 × 頻度)

目の前の数字がいちばん重要だという思い込み「過大視本能」

「2016年だけで、420万人の赤ちゃんが亡くなった」というNewsはとても印象に残る。
これだけ聞くと「420万もの赤ちゃんが。。。」
とまた「世界が悪くなっている」と感じるかもしれない。

しかし、著者からするとこのデータすら歓迎されるデータと言っている。

なぜかというと、2015年では440万人、2014年では450万人、1950年では1140万人の赤ちゃんが死んでいるというデータと比べたから。


また、中国は二酸化炭素の排出量が多いと言われるが、国民の一人当たりの排出量で比べるとアメリカは中国の2倍以上

と他にもいくつかの例を出してひとつの数字を重要視することの危険性を示している。
なので基本的には数字を他と比べることや、一人当たりで考えたり、合計したり、割り算をすることを提案している。

ひとつの例が全てに当てはまるという思い込み「パターン化本能」

インドの病院に学生を連れて行った著者。

そこで学生がエレベータが閉まるギリギリになって乗ろうとして足を出し、そのままエレベータが閉まろうとした。
これにはひやりとするが、現地のインド人からすると「エレベータが自動で開くかはわからない。安全な国にいると外国では自分の身も守れない」と馬鹿にする。

それぞれの国、それぞれの所得によって常識は異なるということを示している。

すべてはあらかじめ決まっているという思い込み「宿命本能」

アフリカは変われない。キリスト教が一番発展する。など、決めつけてしまいがちなことも実はそうでもないことを示している。

例えば、スウェーデンはセックスや避妊について開けっぴろなイメージがある。しかし、それも50年前まではそうでもなかった。中絶も禁止だった。

つまり、文化や人種といって決めつけていることでも少しずつ変わっている。

例えばおじいちゃんやおばあちゃんに戦後の話でも聞けばそのことがわかるのではないでしょうか?

世界はひとつの切り口で理解できるという思い込み単純化本能

「子供にトンカチを持たせると、何でもくぎに見える」ということわざがある。

貴重な専門知識を持ったらそれを他にも使いたくなるという意味。
自分の意見と合わない人と議論を重ね、自分の弱点を見つけてもらうことが大切。

誰かを責めれば物事は解決するという思い込み「犯人探し本能」

何かうまくいかない場合にはそれを誰かのせいにするのは誰でもやってしまいがち。政治家やジャーナリスト、CEO、外人が対象になりやすい。

しかし、実際にはその人が悪いわけではないことが多いし、犯人と決めるとそのさきの解決まで思考が回らなくなる

なので、「犯人を探すよりシステムを見直した方がいい」と示している。

システムを見直し、複雑な問題を解決することが大切。

今すぐ手を打たないと大変な事になるという「焦り本能」

「今すぐやらないと」と焦ると冷静な判断ができず愚かな判断につながると問題提起している。

その中で、著者がもっとも心配すべきとしている5つのグローバルなリスクを紹介している。

  • 感染症の世界的な流行
  • 金融危機
  • 世界大戦
  • 地球温暖化
  • 極度の貧困

しかし5つ目の極度の貧困についてはこうも言っている。

「どうしたらこの8億人(極度の貧困の人)を救えるかもわかっている。必要なのは、平和、学校教育、保険医療、電気、清潔な水、トイレ、避妊具、小口信用だ。貧困にイノベーションは必要ない。他の場所で効果のあった対策を、極度の貧困にある人たちに届ければいい。…救い出すのが一番難しいのは、政治統治力が弱い国の暴力や武装勢力から逃れられない人たちだ。….私はそれでも希望を持っている。…極度の貧困との闘いは1800年から続くマラソンのようなレースだ。次の世代はゴールテープを切れるチャンスがある。」

過激な焦りと対策よりも、地道な一歩が実際には効果が高いとのこと。

緊急であってもデータを確認し、冷静な判断を行うことが大切。

感想

「私は人生をかけて、世界についての人々の圧倒的な知識不足と闘ってきた。この本は、私にとって本当に最後の闘いだ。何かひとつ世界に残せるとしたら、人々の考え方を変え、根拠のない恐怖を退治し、誰もがより生産的なことに情熱を傾けられるようにしたい。」

という想いで書かれた本書。2017年に死去してしまいましたが、彼の夢はまだ続いているのではないでしょうか?

より多くの人が本書を読み、考え方が変わることを私も願っています。

長い要約になってしまいましたが、まだまだ重要なことは伝えきれていないし、実際にグラフを見ることで印象も違うと思うので是非読んでみてください。

ここまで読んでいただきありがとうございます。